21[#「21」は縦中横]
歓楽もやがて思い出と消えようもの、 古き好《よしみ》をつなぐに足るのは生《き》の酒のみだよ。 酒の器にかけた手をしっかりと離すまい、 お前が消えたって盃《さかずき》だけは残るよ!
22[#「22」は縦中横]
ああ、全く、休み場所でもあったらいいに、 この長旅に終点があったらいいに。 千万年をへたときに土の中から 草のように芽をふくのぞみがあったらいいに!
23[#「23」は縦中横]
二つ戸口のこの宿にいることの効果《しるし》は 心の痛みと命へのあきらめのみだ。 生の息吹《いぶ》きを知らない者が羨《うらや》ましい。 母から生まれなかった者こそ幸福だ!
(24)[#「(24)」は縦中横]
地を固め天のめぐりをはじめたお前は なんという痛恨を哀れな胸にあたえたのか? 紅玉の唇《くちびる》や蘭麝《らんじゃ》の黒髪《くろかみ》をどれだけ 地の底の小筥《こばこ》に入れたのか?
25[#「25」は縦中横]
神のように宇宙が自由に出来たらよかったろうに、 そうしたらこんな宇宙は砕きすてたろうに。 何でも心のままになる自由な宇宙を 別に新しくつくり出したろうに。
成田市 歯科 鶯鳴かせたこともある |
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